ソーラーパネル出力の目安

 ソーラーパネルを設置しようと思う場所があるとします。その時おおざっぱに見積もってどの位の出力(電気エネルギー)が得られるのでしょうか? それを簡単に見積もる方法を考えて見ましょう。
 太陽エネルギーは地球に半永久的に降り注ぎます。地球の軌道上宇宙空間で、太陽光線に垂直に置いた$1m^2$の板に降り注ぐ太陽パワーは常にほぼ一定の値を持ち、その値は$1.37kW$です。この値$1.37kW/m^2$は、太陽定数と呼ばれ非常に大切な値です。
 地球から見ると太陽は円形に見えるように、太陽から見ると地球も円形に見えます。太陽から見える地球円の面積は、地球半径を$r$として$\pi r^2$ですね(地球の断面積)。したがって地球全体で太陽から貰うパワーは、$$地球全体に降り注ぐ太陽パワー = 太陽定数 \times 地球断面積$$となります。
 これだけの量を(すごく大きな量ですよ)地球全体がシェアします。そうすると平米当たり地球表面で受ける太陽パワーの平均を取ると
$$ {地表で受ける平米当たりの太陽パワー} = {地球全体に降り注ぐ太陽パワー} \div {地球全表面積} $$となります。但しこれはあくまで地球全体の平均であり、夜には直接の太陽パワーは届かないし、極地では小さいだろうし、赤道に近ければ大きいでしょう。幸いにして日本は先進国の中で低緯度で、多くの都市が北緯35°近くに存在しますので、年間平均をとればこの程度と目安をつけていいでしょう。
 さて上の二つの式を組み合わせると次の式になります。
$$ 地表で受ける平米当たりの太陽パワー = 太陽定数 \times \frac{地球断面積}{地球全表面積} $$となりますが、前述のように地球の半径を$r$とすれば、$[地球断面積]= \pi r^2$であり、中学校で習った球の表面積の公式を使えば$[地球全表面積] = 4 \pi r^2$ですから、$$ {地表で受ける平米当たりの太陽パワー} = 太陽定数 \times \frac{1}{4}$$ となります。
 $太陽定数=1.37kW=1370W$ですから、地球の表面が受けている太陽エネルギーは、平均してその1/4の$342.5W$と言うことになります。
 さてこの値は、宇宙空間から地表まで、太陽光線を遮る物がないとしての値になります。実際は空気もあり、また雲もありますので、地表に届く太陽エネルギーは、その70%以下であると考えられています。もちろんこの値は地域によって異なります。そこで60%と考えて見ますと$342.5×0.6 \approx 200$つまり平均しておよそ$200W$が、平米当たりに降り注ぐ太陽パワーになります。
 ソーラーパネルは、降り注ぐ太陽エネルギーを電気エネルギーに変えるための装置です。この効率は10%程度となっています。言い換えればソーラーパネルは平米当たり平均して$20W$程度が、見積もりの為の目安になります。平米当たり$20W$の電力は一時間では$20Wh$の電力量となり、一年間ではおよそ$20 \times 24 \times 365 \approx 175kWh$の電力量を生み出すことになります。あるビルの屋上に遊んでいる部分があり、その面積が$1,000m^2$だとすれば、そこにソーラーパネルをぎっしりと敷き詰めると、年間およそ$175,000kWh$の発電量を期待することができることになります。