最大のガラパゴス現象は東京一極集中だった

 8月2日に日本を発ち、約50日間の世界一周旅を終え、9月20日に帰国しました。
 成田で帰国し京都に帰る私たちは、当然成田から一時間かけて東京に向かいます。そして新幹線に乗り換え京都に向かいます。日本では誰でもこれが当たり前と感じてそれがどうしたのと言うと思います。
 ところが、これがガラパゴス現象であることを、日本人は気がつかない。成田は広いですね。だから新幹線を引いて、東海道新幹線のどこかへ、直接行けるように線を何故引こうとしないのか? 東北方面に線を引いて、宇都宮あたりで直接東北本線に直結出来るようにしないのか? 成田エキスプレスで東京へ向かう一時間を節約できて、地方から海外へ行きやすく出来るでしょうに。なにより地方から東京に行くと、人の混雑で辟易してしまいます。海外へ行くのに何故人が多く辟易してしまう東京を通る必要があるの? これは明らかに東京圏以外の人が経済的にも活動するのを阻害しています。東京経済圏以外に日本人は八千万人います。これはドイツとほぼ同じ人口。東京人がこの八千万人が自由な経済活動を行うのを阻害しているのです。地方の経済活動が阻害されたから日本経済が失速した。失われた30年は肥大化した東京が作りました。
 東京が中心だから中心を通るのが当然と東京人は傲慢にも思い、地方人は仕方ない東京が中心だからと思う。そうそれではこんどドイツに行ったとき、フランクフルトで様子をよく見てください。皆さんドイツに行くにはほとんどフランクフルトに飛ぶと思いますが、フランクフルトでこのような目に遭うだろうかと。全く事情が違っていることが解るでしょう。そう日本は世界から見て特殊なのです。巨大都市東京を擁するガラパゴスなのです。
 帰国したら日本は相変わらず。失われた30年も何のその、世界のガラパゴス国へひたすら突き進んでおり、日本が危機にあるという認識はほとんど見られません。
 今回の世界一周旅は、もちろん観光旅行ではあるのですが、気になっていることがらを確かめるためでもありました。気になっていることとは、東京都市圏のような巨大都市圏に、国民が集中している国はあるのだろうかという問題です。
 日本をガラパゴスと言って自虐するのは、質の悪い東京論壇の常套句で、国民は「そうか日本は世界から見て遅れているのか」と思う傾向を後押ししています。ガラケーなどと昔の携帯電話をたたくことは、もはやおなじみになっています。
 しかし東京一極集中が、まさに日本のガラパゴス現象の最たるものという意識は、誰にもないようです。実は東京一極集中こそ、まさに日本が島国で、世界から隔離しているため実体験を阻害されているための、惨めなガラパゴス現象なのだということは、私も最近気がつきました。
 世界のニュースはもちろんグローバル時代、簡単に入ってきます。しかし本当の理解は実際の体験から始まります。哲学者の西田幾多郎は純粋経験と言いました。「少しも先入観無く、少しの思考も交えず、単に経験をする」ことから思考が始まるのだと。西田の意味では、メディアに頼る今の時代には、誰も本当の経験をもとに考えていないことになります。何故ならメディアは必然的に何らかの先入観が入っているからです。
 この国は住みやすいとか、便利な街であるとか、人が余裕を持って暮らしているなとか。こういったことは、実際に自分の街の経験と、訪れた街との実態経験ー純粋経験でしか、理解できません。物理的にその町に行って初めて、その町を知ることが出来るのです。
 巨大都市東京は日本人が唯一知る大都会であり、そして通常の日本人が知る唯一の国の首都です。一方人口30万程度の都市は日本各地にたくさん存在します。日本人がそれらの街を旅すると、もちろん地方色は感じることが出来ますが、共通して感じることは、東京に比べて例えば便利さが足りないとか、東京と比べてのものになりがちですが、その比較でネガティブ・ポジティブな結論は双方当然あるものの、大抵は東京のようになったらなということでしょう。しかしそれがガラパゴスの感覚なのですね。結局日本人は共通して大都会の方が良いと結論しがちとなります。一方東京はその結論に乗っ取って、地方が遅れているのだと考えがちになります。
 一方ヨーロッパでは人口30万人の都市は大変便利で住みやすく、人々も余裕を持って生活を楽しんでいます。これは今回40日かけてドイツを中心にヨーロッパの様々な国を回った純粋経験から来る感想です。人口30万人のドイツの都市の住民が、ベルリンをうらやむことはまずありません。何故って? それが当然だからです。ヨーロッパ各国は陸地で繋がっており、30万規模の街は各国にたくさんあります。それらが競って快適で住みやすく経済も豊かな地方都市を造ってきたから、30万規模の都市は、それぞれ特徴を持ちながら、都市基盤としての交通手段など、共通して日本の30万都市を格段に超えて、住みやすく便利な街を造り出しているのです。もっと小規模な都市についても同じことが言えますし、百万規模の都市も日本がガラパゴスであることを共有して、同じ問題を抱えています。ヨーロッパ諸国の実態を経験してみれば、改善策は必ず見つかるはずなのに、公費でヨーロッパを調査するのは、東京を通して行わなければならないという、東京パワハラに押されて、出来ずにいます。思い出してください。エッフェル姉さんが問題になったとき、ガラパゴス論壇の時代遅れメガネザウルスが言った言葉を。「国会議員は公費で外国視察しても良いが、地方議員が視察するのは良くない」と。つまり地方議員は東京のメガネを通してしか、外国を学ぶことは出来ないと言っているのです。地方の人間は純粋経験で政策を判断できないと。これって民主主義を否定しているよね。自分は東京メディアだから出張できるのだと言っているのですが、これって東京パワハラでは。これがガラパゴスでなくて何ですか?
 現実のガラパゴス諸島を訪れる人は制限されています。ガラパゴスの環境を守るためです。東京論壇はまさに日本のガラパゴス環境を守っているのですね。私はこれからは地方の時代、地方議員こそ、公費で海外を見る旅に出るべきだと思います。エッフェル塔を見るためではなく、自分が参考にしたい都市を、選んでその都市の議員や市民と交流もする、今や日本人の若者は各地にいます。現地にいるその人達を案内人に、現地をじっくり経験する、そういう出張を腐れきった国会議員ではなくまた世襲議員ではなく、土地の地方議員が是非訪れるべきだと考えます。
 訪れてみて解りますが、ヨーロッパの様々な都市は日本と同規模都市よりずっと住みやすい。これは大都市一極集中を避けたからです。少なくともヨーロッパには東京経済圏みたいな、恐ろしく集中してブラックホール化している都市はない。
 それを知らずにまさにガラパゴス現象として、恐竜よろしく巨大都会へとガラ進化したのが、現在の東京であり、恐らくこれが恐竜が絶滅したみたいに、日本を絶滅の危機にさらしているのです。あぁ、ガラシュートTOKIO。
 ガラパゴス現象に寄生するガラセー(ガラパゴス政治家)のみっともなさは今回の自民党総裁選にも表れています。ガラパゴス進化を遂げた東京都市圏で、四代も政治家を続けてきた超ガラセー進次郎など、絶対に日本国総理にしてはならない、地方活性化をはっきりと打ち出す政治家を次の日本国総理にしなくては、失われた○○年は果てしなく続きます。
 帰国して一週間で、日本の将来が決まりかねない総裁選を見ることになるとは。
 私の主張はこのブログでも繰り返し述べてきました。今回の長旅もその主張を裏付けるため。旅行中日記のように感じた事柄をYouTubeにあげておきました。是非ご覧ください。

東京一極集中は先進国では日本だけの現象である (youtube.com)

(1) 2024年ヨーロッパ旅 – YouTube