退陣を表明された石破首相、本当に無念だったと思います。心中お察しするに、私の心も痛みます。
「自分の言葉で」語られたと、多くの人が指摘されています。本当に素晴らしいことです。自分の言葉で語る為には、もちろん自分で考えなければできないことです。政治家に対して「自分の言葉で発言された」という賛辞は、逆に言うと強烈な日本の現状に対する批判でもあります。つまり近年の歴代首相は、自分で考えることが出来ない人たちだったということです。そして日本は民主主義の社会です。自分で考える力が無い政治家ばかりを選んでしまったという、強烈な現代日本の弱点をさらけ出したことになります。
民主社会の政治家は、多くの人の意見を聞く必要があります。そのためにはソクラテスが伝えるギリシャの直接民主制のように、対面で多くの人と話をすることが本来の基本ですが、一億の人たちと対面で話すわけにはいきません。だから選挙で選ばれた人たちが議論するという、議会制民主主義が生まれます。そして議会制民主主義が機能するために、政党というグループで、様々な地方で選挙人が判断を行いやすくする仕組みができあがりました。
しかし勝利した政党だけで判断するのは危険だからと、別の形で民衆の意見を表現するメディアも生まれました。これはすべての近代民主主義国家のあり方となっています。
政党とメディア。どちらも戦後日本を通じて、民衆の意見を集約してきた仕組みです。そして戦後を通じて一貫して、政党は自民党がごく短い期間を例外として政治を支配してきました。またメディアもごくわずかな例外を除いて、東京のメディアが「多様な」情報を発信してきました。
今回「石破おろし」の経緯を、さも物知り顔で解説し発信してきたのも、東京のメディアでした。すべて石破さんの苦渋の決断に、多大な影響を与えた発信源は、東京にありました。
政治家は神ではありません。人間です。人間であるから、自分で考えなければならない。自分だけで考えることは、その地域のため、あるいは国のため、そして人類の為にならないから、多くの人の意見を聞かなければならない。多くの人の意見を聞くために、政党やメディアがある。
自民党の賞味期限が切れたことは、今回の石破おろしで明らかです。政権担当能力がある唯一の政党が自民党である。そう考えられてきました。それが今崩れようとしています。政権担当能力が他党にも育ったからではない。自民党が政権担当能力を失ったのです。
多くの人の意見を反映できない自民党。ではメディアはどうでしょうか。いかにも物知り顔で解説するメディアの論壇は、今回も石破おろしを結果的に主導しました。石破では持たないよと。これって自民党でなければ持たないよっていう、古い主張が根底にあるって思いませんか。
石破首相、あなたは岸田さんなどが唱えた形式的な地域創生を、自分の言葉で、つまり自分で考えたことで主張されました。その証拠に、鳥取県知事は最後まであなたを支持されましたし、多くの県の知事達が、あなたの主導した東京一極集中打破・地上創成の火を消してはならないと考えていることが、メディアの情報から読むことが出来ます。
そしてそれは当然です。全国に47ある都道府県。そのうち東京都市圏にあるのは一都三県、つまり全国の4/47。10%にも届きません。総務省の統計によれば首都圏に住む住民は3800万人。人口で30%。地方で言えば90%の、人口で言っても70%の人々が、「東京」の恩恵を被っていないのです。何故東京都だけが、無駄な噴水など税金で作る余裕があるの? 東京が日本の大半を占める地方に、何をしてくれているの? 全国を民主的に考えると、首都ではなく地方をもっと栄えさせるべきと考える人が圧倒的に多くなるでしょう。
メディアが戦争を煽ったと、戦後80年になる現在、メディアでも大きく取り上げられています。それは過去の報道を新聞で読み返せば解ることです。80年後、一極集中の弊害をメディアは取り上げることも出来なかったと、朝日や毎日読売産経、大手のメディアは反省しているでしょう。もしそのときまで存在していたらですがね。
石破首相、あなたの無念はいたいほど解ります。しかしあなたはまだ、一ヶ月首相でいることが出来ます。あなたの一番やりたかったこと、すべての日本の地域を元気にし、日本を世界に誇れる国にする、その道筋をこの一ヶ月であなたが思うように作ってください。そうすればあなたは真に歴史に残る日本の指導者としての事業を成し遂げられるでしょう。いや成し遂げるのは、すべての日本人です。あなたが敷設した道筋を、笑いながら楽しみながら、切り開くすべての日本人です。
東京一極集中打破!自民党終焉!!