一見さんお断りの精神を

京都のオーバーツーリズムに対処するために

令和7年の日本への観光客は4200万人に達したと報道されました。日本の人口が一億二千八百万人ですから、一年で日本の人口のほぼ三分の一の人が、海外から訪れたことになります。リピーターもいるでしょうから、三年でと言えずとも、数年ごとに日本文化を経験する人の数が、日本人の数とほぼ匹敵して増えることになります。数年ごとに日本文化を愛する人が、日本在住の人数ほど増加する可能性がある時代に入ったのです。そして日本在住の人数は、人口減と言われながらも、ドイツ、フランスやイギリス以上、いやヨーロッパのどの国よりも多いのです。多様と言われながらも世界的に見て均一な欧米の各国の、それ以上多くの世界からの人が日本文化に触れ、それを取り入れるという時代になろうとしているのです。
 これはいわゆるグローバルな全世界からみても大きな出来事と思います。日本という特殊な国を知る人が、ほとんど日本人だけの時代は終わり、世界に日本文化が体験され、そして認識される時代になったのだと思います。つまり日本文化の価値と重みが真に試される時代となったのだと考えられます。
 日本文化は欧米社会にとってこれまで神秘であり続けました。欧米とは価値観も歴史も大きく異なっているから当然でしょう。そして二十世紀にいたる数世紀は、欧米社会が世界を圧倒していく歴史でもありました。しかし21世紀になって、急速に欧米主導の価値観が崩れて行くのが誰の目にも明らかになってきました。欧米とは違う価値観を持った多様な文化が、欧米文化が確立したグローバルな世界の上で、すべての文化が協力して持続可能な社会を建設する時代に入ってきたのです。
 日本文化はその多様な文化のうちでも、大切なそして指導的な文化の一つであると、私は確信しています。そしていわゆるインバウンドの人々の多くが、それを感じて日本を訪れてくれているのだと思います。だから日本への観光客は多国籍に渡り、遠近にかかわらず国別の割合は偏ることなく分散しているのです。世界中で認められる幸福な未来社会へ向けての日本文化の役割。それを日本が持っているのです。
 それを真に体験してもらうには、一過性の観光客を重視してはいけません。京都はそれを昔から知っていました。
 それが一見さんお断りです。
それを京都は思い出すべきでしょう。京都は昔からそれを知っていました。単なる物見遊山では京都の、そして店の、地域の価値は決して解らない。だからリピーターを重視するのだ。京都の文化を真に愛するリピーターに紹介されて初めて、我が文化を愛する人たちに新しく訪れてもらい、またリピーターが増え、持続的に京都の価値が保たれるのだと。
 一見さんお断り。その真意を京都は今こそ思い出しべきではないでしょうか? その考えのもとに、京都の価値観を認める人を持続的に伸ばすことができるのです。
 お客さんが増えるのは喜ばしいことですが、一方でオーバーツーリズムに激しく悩む京都に対して、一市民としての考察を書き記してみました。