wordpressで数式を使う簡単な方法(初心者向け)

 えねるぎぃっ亭南駄老です。エネルギーについての基本的な考えを、一般の人に伝えたいと活動しています。
 wordpressの初心者ですが、その活動のためにHPとブログを自由に作成したいと思い、74歳ながらwordpressを使い始めています。科学的な記事を書かなければならないので、数式を何とかしたいと思っていたのですが、wordpressに慣れるために、しばらく考えないことにしていました。でもそろそろwordpressにも慣れた?ので、数式を使ったページを作成しようと、いくつかのプラグインを使って試してみました。そのなかで、一番わかりやすかったのが、Simple MathJaxというプラグインでした。
 理由は二つです。①数式がきれいに出来上がること考え方が簡単であること、の二つです。記事の入力に際してエラーはどんな場合でも起こり得ますが、特に数式が入る場合は半角入力の機会が多く、全角入力すればエラーになりますが、そのような場合を含めて、メッセージからエラーの理由を見つけやすいことも、気に入った理由です。
 さて考え方が簡単(だからSimple MathJax?)と私が考える理由ですが、簡単にLaTeXの数式環境に入るという考えで作成されていると思うからです。

 Simple MathJaxの特徴は¥と$の半角文字使用にあります。今お読みになっている文章で、¥も$も円記号ドル記号として見えていると思いますが、これは私が全角文字で入力したためで、この二つの記号を半角文字で入力すると、Simple MathJaxは「数式がくるぞ」と身構えるのですね。例えば$ y=x^2$でドル記号を半角にするだけで$y=x^2$となります。つまり前後を$で囲むと文中で数式を挿入できます。また前後を二つ続けてドル記号で囲むと、例えば$$ y= ax^2 + bx +c $$でドル記号を半角にすれば$$ y = ax^2 + bx +c $$となります。つまりこの場合(半角ドル記号二つで囲んだ場合)、改行して数式を中心に見やすく書いてくれるのです。以上のことは、プラグインSimple MathJaxを有効化するだけでいいのです。
 プラグインの有効化までは、すでに学ばれた方が多いと思いますので、ここには書きませんが、ダッシュボードのプラグインから新しいプラグインを選び、その場面の検索窓にlatexで検索を入れたらSimple MathJaxはすぐ出てきます。
 逆に言えば半角ドル記号を、記事の中に書く可能性がある人には、勧められないプラグインとなるわけですが、私のように経済の記事は書くことはなく、またドル記号を使いたい場合があっても、ここでのように全角で入力すると問題ないということになります。(ドル記号キーを全角で押すと変換の可能性がいくつか出ていますから、半角を選ばないように。半角文字と全角文字は幅を比べればすぐわかるでしょう。)
 もう一つの特殊文字¥は、日本語の通常のパソコンでは/記号のよこにあるキーに”\\”としてあります。このキーを半角で押すと\\となり全角で押して標準で出てくる文字が¥になります。記号\\はLaTeXでは頻繁に使われる記号で、例えばギリシャ文字$\pi$は$¥pi$の中の記号を三つとも半角で書けば出てくるのです。もう一つ例を挙げるなら、$$ S = 4 ¥pi r^2 $$の¥$記号をすべて半角で入力すると$$ S = 4 \pi r^2 $$となります。
 数式には様々な記号があります。そのそれぞれに対してLaTeXは¥を使ったコマンドを持っています。単純な+-はそのまま使えますが、掛け算は$a ¥times b$が$a \times b$、割り算は$$ a ¥div b = ¥frac{a}{b} $$が$$ a \div b = \frac{a}{b} $$となります。
 有名なオイラーの公式を書いてみましょう。$$ e^{ i ¥pi} + 1 = 0 $$が$¥記号を半角にすることによって$$ e^{i \pi} + 1 = 0 $$となります。ここで数式モードの中での{}の役割を理解してください。{}は印刷されることはありませんが、印刷屋さんに{}の中はまとめて扱ってくれと伝える役割をします。試しに{}を外すと$ e^i \pi + 1 = 0$となります。
wordpressでプラグインSimple MathJaxが有効化されていれば、前述のように$・・$または$$・・・$$で数式モードになりますが、$$・・・$$と同じことはLaTeXの標準コマンド
¥begin{equation}
a=b^2
¥end{equation}
を使ってもできます。¥を半角入力すれば
\begin{equation}
a=b^2
\end{equation}
となります。このやり方は複数行の数式入力に使えます。私の著書「文系人のためのエネルギー入門」の中で、地球の断面積を求めた式を書いてみます。地球の断面積とは、太陽から見た(太陽からは地球は円に見える)地球の面積です。地球の半径は$r=6.366 \times 10^6 m$なので
\begin{eqnarray}
S &=& \pi \times (6.366 \times 10^6)^2 \quad m^2 \\
&=& \pi \times 6.366^2 \times 10^{12} \quad \: \, m^2 \\
&=& 1.27 \times 10^{14} \qquad \qquad \; m^2
\end{eqnarray}
上式は
¥begin{eqnarray}
S &=& ¥pi ¥times (6.366 ¥times 10^6)^2 ¥quad m^2 ¥¥
&=& ¥pi ¥times 6.366^2 ¥times 10^{12} ¥quad ¥: ¥, m^2 ¥¥
&=& 1.27 ¥times 10^{14} ¥qquad ¥qquad ¥; m^2
¥end{eqnarray}
の¥をすべて半角で入力すれば出てくるものです。¥begin{eqnarray}、¥end{eqnarray}ではさむこと、改行したい場所に¥¥(半角入力)を使うこと、揃えたい場所を&&で挟むことがポイントです。ここでは=を揃えました。
 数式環境では空白は基本的には読み飛ばされます。空白をコントロールするために¥quad と¥qquad はLaTeXで空白をかなり大きくとるためのコマンド、小さく制御するためには¥,¥;¥:があります。単位$m^2$を数式の各行に入れてありますが、これらの空白制御なしでは、LaTeXでは空白を基本的に決められた空白に統一されますから、単位は各行の数値が終わったすぐ後に出てきます。それを避けるために、これらの空白制御コマンドを入れてあるわけです。
 空白制御はネット環境でも重要であることは、いうまでもありません。そのためにいくつかのプログラミング言語が開発され、それを学習した上で、専門家は思い通りの表現をネット上で行えますが、素人はそれではネットで発言できなくなります。それを克服する有力なソフトとしてwordpressがあるのだと思います。
 空白制御は紙媒体の出版に端を発します。紙媒体の出版で空白を自由に制御するために、TeXが開発されました。TeXの独特のロゴー二番目の文字eが半分だけ下がっているーは、TeX環境で空白あるいは行間制御の方法で作られたものです。特に数式では欧米諸国の印刷物を一新しました。それまでは機械的な、あるいは物理的なタイプライターで打ち出した印刷物が当たり前だったのです。半世紀前はそれが当然でした。TeXの開発者は、欧米の印刷物の体裁の悪さを嘆き、日本の印刷物の質の高さに追いつくべく、TeXを開発したと言っていた記憶があります。日本では印刷業者がきめ細かく活版の組を作っていた時代でした。
 TeXは専門的過ぎました。一般に普及させるためLaTeXが開発されました。今のwordpressがそうだと思いますが、専門のものを一般に普及させようとすれば、様々な障害が起こります。それを乗り越えて信頼できるtoolが完成するのです。数式を美しい形で書くためのtoolとしてLaTeXの完成度は非常に高いのです。そのLaTeX環境に半角の$と¥で簡単には入れるのがSimple MathJaxだと思います。
 さらに様々なLaTeX数式コマンドは、LaTeX 数式などで検索すれば、数多く見つけることができます。
最後にエネルギーについての記事で、一年間に地球全体に降り注ぐ太陽エネルギーの大きさと、一年間に全世界で消費されている化石燃料のエネルギーを比較する記事を、Simple MathJaxで書きましたので、仕上がりを確認するためにもご覧ください。同じ時間で比較すれば、地球に降り注ぐ太陽エネルギーは、地上で人類が消費する化石燃料エネルギーの一万倍以上あるという計算を、誰にでもわかるよう遂行した文章です。そして「文系人のためのエネルギー入門」で、最初に示した計算でもあります。