新しい京都市長への私の希望

角川京都市長が今季限りで退職

角川京都市長が、来年の京都市長選挙には出馬されないことが表明されました。来年の選挙にどのような候補が出馬されるのか、大変期待されます。新しい市長は、国を新しい方向に向けてくれるかもしれません。

現在日本がおかれた状況

21世紀に入ってその1/5がすでに過ぎました。現在の日本は、戦後から始まり20世紀が終わるまで、多くの国民に共有された未来への希望を失っています。今の日本では、あらゆるニュースが、多様な人々の希望と夢を、それぞれ少しずつ失望に変えてしまっているようです。20世紀と21世紀の違いは、日本ではそれほど深刻と考えざるを得ないのではないでしょうか。生涯のほとんどを希望に満ちた時代で過ごした私には、少子化時代に育ち、少子化時代を生き抜く今の子供たちに、純粋な希望を持って育ってほしいと思うばかりです。日本の持続的発展のために。
 もちろん希望は人々によって違います。だが国に有効な政治を含めて活気があるとき、多くの希望は互いに共鳴し、そして少なからぬ希望が実現します。戦後生まれの私が経験した時代はそういう時代でした。一方国に停滞が起こった時、多くの希望は幻滅に代わるのです。ちょうど今の日本を見ていると、そう考えたくなるのです。

失われた30年と東京一極集中

失われた30年と言われています。バブル崩壊以来、日本経済が停滞しそのように言われています。
 現代社会を動かすためには、エネルギーが必要です。一人の物理学者として、ちょうど原発事故があったころから、社会的なエネルギー問題を考え始めた私は、資源エネルギー庁のエネルギー白書を見ながら、21世紀にはほとんどエネルギー消費に大きな変動はないと感じていました。
 ところが最近になってオイルショックから始まってからずっと統計を取っているIEA(国際エネルギー機構)のHPを見ると日本の建物内の電力消費は、失われた30年が始まった20世紀終盤の約10年間で、それまでの倍増となるほど激しく増加しています。ちょうどまだ多くの人が希望を持った最後の時期であり、後になって希望を持てなくなった時代の始まりだったと気が付くおよそ10年の間です。この急激な電力消費増加は、東京を中心とする高層ビル群などでの電力消費が急増したためであるとしか考えられません。東京がこのようなエネルギーの爆食いを始めても、21世紀日本は経済の停滞に陥ってしまいました。高層ビルは一部の人の希望をかなえますが、明らかに多くの人の希望を満たす力がないことを示しています。エネルギーを大量に注入しても、経済の停滞を産むのですから。
 東京は戦後日本の経済発展を先導してきましたし、多くの国民の希望の象徴でもありました。ところが今や残念ながら経済の足を引っ張るに至った町と認識しなければならないようです。😒

戦後日本の多様な希望を集約するには、戦争で荒廃した日本を復興させ、明治以来の国是であった、先進西欧諸国に追いつくことが必要でした。バブル崩壊前、日本はこれを達成できたかのようでした。先進諸国に追いつきジャパンアズナンバーワンとまで言われました。

持続社会を目指して京都市長の役割は大きい

これからは持続可能社会創成が求められることは明らかですが、エネルギーを集中して消費する東京は持続可能ではないことは簡単な考察でわかります。昔は欧米の先進国に追いつくというのが課題でした。東京もそのために首都となりました。しかし今は全世界が持続社会を目指す時代なのです。先進国とは必ずしも欧米ではなく持続社会のモデルを示す国へと変わっていくでしょう。できない国は先進国から脱落します。東京は残念ながらも、そのためのリーダーの役を果たせないことが明らかなのです。
 数多くの地方都市が、それぞれの近くにふんだんにある豊かな自然を生かし、自然と調和した自然エネルギーで街を持続可能とする輝かしい人類の新しいページを開く歴史が始まるでしょう。長い歴史を持続して持ち、東京以前に長く首都の座を保ってきた京都は、この方向へ向けた日本のリーダーとなる資質と意欲を持っているし、京都がリーダーにならねばどこがやるというのでしょうか。その先頭に立つべき人こそが、次期京都市長になってほしいと思います。豊かな日本とそして世界の未来のために。

このような観点で、新しい市長が選ばれてほしいと熱望する次第です。そして新しい地方の首長が目指すもの、それは日本の持続社会への成長です。現在の若い人たちが、未来に希望を持って子供を産み育て、地域にあった食料、産業、そしてその生産と市民の生活を支える地域の自然エネルギーの整備を始める、無駄で過剰なエネルギー消費をストップし、太陽からの恵みである、様々な形の自然エネルギーで末永く生きていけるよう地方を変えて行く。そしてその魅力を楽しみながら学んでくれる観光客を引きつける町にする、更にはその広い地域に過剰にならぬよう移住希望者を導いていく。ただ単に歴史を誇るだけでなく、その伝統を生かし世界を持続社会に導くリーダーとなる、その先頭に立って働いてくれる市長さんを是非とも選びたいものです。