206番の市バスー京都

京都は歴史の重みを持った落ち着きのある良い町なのですが、市内の交通がいけません。観光客がこれほど訪れているのに、公共交通機関の劣悪さは世界の恥です。このブログでも取り上げていきたいと思いますが、観光に来た人達も、今の交通機関を考えて頂き、京都で改良をしたいと考えている市民グループにお力添えを願えたら幸いです。

206番の市バス

私が京都駅に行くときは、できるだけ自転車で行くようにしています。京都駅まで恐らく10km弱だと思うのですが、バスに乗るよりずっと快適なので、そうしているのです。

京都駅から私の自宅へは、206番のバスに乗ります。これは恐らく京都で最悪のバス路線(乗客にとって)ではないかと思います。逆に経営の市側に立てばドル箱なのでしょうが、でも市は公共事業として市バスを運営しているはずですから、ドル箱だからといって最悪の環境に置いておくのはいかがなものでしょう。

多くの観光客の皆さんもこのバスに乗った経験があるのじゃないかと思います。もしそうだったら良くご存じでしょう。とにかく混むのです!! 何故ならこのバスは京都駅を出た後、東山通りに出、それを北上、清水道、祇園を通って京都大学へ向かうのです。観光シーズンには206番に乗るために、長蛇の列が出来ます。清水道、祇園を過ぎると、普通の混み具合になるのですが、そこまでは大変です。

逆に京都駅に向かうときには、京大を過ぎるまでは普通の混み具合ですが、祇園でお客さんがぐっと増え、清水道では乗車を待つお客さんが列を作っています。混雑する乗り物で、バスの入り口でお客さんが動きにくいのは、バスの構造上当然ですね。206のバスの清水道当たりがまさにそうなります。そこで運転手さんがマイクで「入り口を開けて下さい。ドアが閉まりませんから。」と何度も叫ぶ。市バスの運転手さんは、丁寧なアナウンスをする人もいますが、乱暴な人に当たったら大変です。高度成長期の東京の、駅で乗客をドアから電車に無理矢理押し込む駅員じゃあるまいし。あれは京都の恥。京都市長はあちこち顔を出すのが好きな人だけど、一度この206に乗ってみれば良い。

市電廃止以来工夫がない京都の公共交通システム

京都のバスは二桁ナンバーが多いのですが(一桁もある)、何故200番台の三桁ナンバーがあるのでしょうか? ナンバーからして解りにくい京都の市バスです。

古くから住む住民はそのわけを知っています。昔京都には市電が走っていました。70年代にモータリゼーションの影響を受け、京都の市電は廃止されました。大きな謬りだったと思います。

市電は一桁のナンバーで、路線が決まっていました。一番から八番までありました。また市バスも走っていました。そしてやはり独自に一桁~二桁のナンバーを持っていました。

市電を廃止したとき、バスと電車の違いを考慮に入れず、電車の路線をバスに置き換えただけでした。そして一桁の路線はすでにバスにもあったので、一番から八番までの市電の路線に、そのまま201~208までのナンバーを持ったバスを走らせたのです。何と安易な。世界ではすでに路面電車とバスの棲み分けをどのようにするのか、試行が始まっていたというのに。

そして何の工夫もなくそのまま多くの路線のバスを走らせ、京都市の主要繁華街、四条通りや河原町通りにはバスが溢れるような状態になりました。四条河原町からは京都駅に向う沢山の路線が走っているのに、つまり何番のバスに乗ってもほとんどのバスが京都駅に行くのに、清水寺からは206の路線だけというようなちぐはぐな状態が今も続いています。

一年に地球を八百周する京都市バス

統計によると京都の市バスの一年間の総走行距離は三千万キロメートルほどあります。各路線の全距離を市バスのHPで公表していますから、同じく公表されている一日の往復数を考慮し足し合わせれば、小学生でも解る計算になります。地球を一周すると四万キロメートルですが、そのおよそ800倍です。京都市はバスを800台ほど持っているそうですから、それぞれ一台が一年間に地球を一回りしている計算になります。

バスの燃費

バスの重量は、当然乗用車よりも重く、一台10トンほどです。普通の乗用車の重量2トンの五倍です。

乗用車の通常の燃費はリッター当たり10km程度です。一時リッター当たり30kmなど宣伝された乗用車もありましたが、それはハイブリッドか(ハイブリッドなら消費電気エネルギーを考えねばならない)、重量が軽いか何か理由があるはずです。嘘と思うなら皆さんご自分の乗用車の燃費を実測してみて下さい。簡単です。ガソリンスタンドで、自車の走行距離とガソリンを何リットル入れたかを記録し、次の給油の時にまた走行距離を見て、前に入れたガソリン一リットル当たり何キロメートル走ったかを割り算で計算するのです。二トンの乗用車で、ガソリンだけで30km走る車は絶対にないと断言できます。これは中学でも習う簡単な物理の問題です。

乗用車は重量約2トン、バスは約10トン程度で、バスは乗用車の約五倍の重さです。

燃費は先に述べた物理学で、重量に反比例します。したがってバスの燃費はリッター当たり2kmほどです。バスはディーゼルエンジンでガソリンエンジンより2割ほど燃費は良いでしょうが、バスの性格上頻繁に止まるので、逆に2割ほど悪くなるでしょう。つまりバスの燃費はリッター約2kmです。びっくりされる人も多いのですが、バスは石油を食い荒らしながら走っているのです。

市バスの年間軽油消費量

ここまで来ると市バスは年間にどれだけ軽油を消費するか、簡単に解りますね。市バスは年間約3000万キロメートル走っているのですから、年間1500万リットルの消費になります。仮に軽油が一リットル100円だとすれば、年間のバスの燃料代は、15億円となります。

今エネルギー料金がウクライナ戦争で高騰しています。市も困っているでしょう。でも問題はウクライナ戦争ではありません。有限な石油代金はこれからも上昇するのですからね。

持続社会をリードする京都だからこそ公共交通機関の見直しを

明らかに現在の京都の交通システムは持続可能ではありません。このページではすぐ解る問題点を示しました。このブログでは、更に問題点を整理し、また解決策を考えて行きたいと思います。京都市民の皆さん、また京都を愛する全国の、そして全世界の皆さん、是非どうすれば良いか、一緒に考えて下さい。

また当面の京都観光で、206等の過密状況を避ける方法を、京都の交通機関の現状を地元民として調べた上で、幾つか旅行者に参考にして貰いうる情報も発信していきたいと考えています。どうぞご期待下さい。